《MUMEI》

「だが‥旅は大変であろう?」

「まぁ、一番大変なのはその日の寝床捜しだよな」

 草助は大して大変という素振(そぶ)りも見せず、畳に体を横たえた。

「華郎、お前さぁ──」

「‥?」

「旅、してみるか?」

「‥お前と‥?」

「俺の後付いて来るってんなら、そういう事になるぜ?」

「ふむ‥」

 雛菊は考え深げに唸る。

 彼に付いて行くとすれば、旅に同行するしかあるまい。

 心の内で呟き、彼女は草助を振り返る。

「世話を掛けるやも知れぬが、構わんか?」

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