《MUMEI》

パーティーの最中だというのに、僕は指輪をどうしようかとずっと考えていました。

「リュート、また‥何か悩んでる‥?」

「‥ぁ、いえ‥」

折角の前夜祭の楽しい雰囲気を乱しては、申し訳無いですからね──。

アンリ様はクリスマスツリーに煌めく光を見つめて、うっとりとされています。

プラムのプディングを切り分けて差し上げると、幸せそうな表情をされ、僕にも勧めて下さいました。それから、パーティの御礼にと、ヴァイオリンを奏でて下さったのです。

「──楽しんで頂けましたか」

「うんっ」

アンリ様は無邪気な笑顔で頷いて下さいました。

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