《MUMEI》 音楽室には、2,3人の3年生がいた。 勢いよく開いたドア、入り口に無言で立っている私を、 驚いた表情で見つめる。 「…なんか用??」 一番最初に口を開いたのは、西城先輩の横にいる背の高い男の先輩。 私は答えず、西城先輩を見つめる。 先輩は鼻に大きなガーゼを貼り付けていて、 私をキョトンとした顔で見つめ返した。 「ねー、何か答えなよー。 キミ何年??どちら様…」 さっきの先輩が言い終わらないうちに、その先輩を睨みつける。 その先輩は、ビクッとして口をつぐんだ。 私は、黙ったまま西城先輩の元に歩み寄り、 目の前で立ち止まった。 「え??…何、俺?」 おどけたように自分を指差す先輩から視線を外さないまま、 私は静かに頷いた。 「…さっきの、本当ですか」 私が静かに問いかけると、 「は??」 間の抜けた返事が返ってきた。 「…さっきの話、本当ですか」 もう一度、言い直す。 「あー、聞いちゃってた?? っつーか、キミには関係ないっしょ?」 「あります」 「え?なに何??まさかかなめちゃんのこと好きだった??」 ふざけた口調。 「…違います」 「またまたあ〜!キミ、そのネクタイは2年っしょ?? あの子ねー、顔はいいけど、暴力振るわれるよ〜」 「………何したんですか」 軽い感じで言う先輩を無視して、言葉を続ける。 「…しい…蓬田さんに、何したんですか」 「あ??…いやいや、男ならついやっちゃうようなコトってゆうか、 ちょっと押し倒しただけだぜ?? それを、血相変えてさー。 ―…あ、今なら傷心中の彼女を慰められるかもよ??」 ―…サイテーの、ひとだ。 前へ |次へ |
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