《MUMEI》
何時もの場所、何時も通っている小さな小さなアパート。
慣れた手つきで鍵を回す。
建て付けの歪んだ木製のドアを開ける。
ギギギと軋む音。
迷う事もなくそれを閉じ、鍵をしめる。
薄暗い外灯よりも暗い、酷い闇がそこにはあって…何の音もなくて…
しかし俺は馴れた足どりで奥に突き進んだ。
「ごめんね、遅くなって…」
ふわりと小さな体を抱きしめる。
例え暗闇でも俺は迷う事もなく彼を見つける事が出来る。
「……ッ、ん、……ん……」
意味の持たない音を漏らす彼をきつく抱きしめたまま布団に横たえる。
「大丈夫、傍にいる、貴方は一人じゃない、俺がいる」
深く唇を塞ぎ、慣れた感触の熱い舌を乱暴に捕らえる。
わざとチュクチュクと音をたてながら闇に強く響かせて。
小さな窓から一瞬だけ、車のライトの光が入った。
酷く細く、白い肢体が俺を求めて泳いでいる。
お互いに荒い息使い
もどかしく服を脱ぎ、剥ぎ取り、熱い肌を重ね合う。
何百回も重ねてきた馴れた肌、馴れた体。
「ああ〜っ!あ〜っ!んあ……、ん〜っ、あっ、…あーっ…」
遠慮なしに喘ぐ彼の体をひたすら出入りする。
馴れた内壁の感触、それは俺を全く飽きさせない。
淫らな水音。
甘い喘ぎ
縋る腕に愛しさを感じる。
「ァハア!ぁあ!
ア〜…………ッ…」
全身を痙攣させ彼はイッた。
ふぅと脱力した体を数回突いて、俺も中に吐き出す。
荒い呼吸のままピチャピチャと舌を絡ませあい。
俺はティッシュの箱を引き寄せて彼の片足を肩に担いだ。
指を穴に入れて俺の出した精液を掻き出す。
荒い呼吸のままシーツをきつく握りしめ彼は薄く身震いした。
今日もここに居た彼
俺を待っていた彼
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