《MUMEI》

「…蓬田!?―…どーした!!?」



私が泣いてるのを見て、椎名くんは慌てた。



「…わるい、寝るつもりじゃなかったんだ」



…なに、それ。


何で、椎名くんが謝るのよ。



謝るのは、私のほう。



「…ごめんなさい!!」



私は、深く頭を下げた。



「…え??」


「本当に、ごめんなさい」



私は、顔を上げると、椎名くんの目をしっかり見つめた。



「…全部、わかったから」


「わかったって―…なんで」


「先輩が話してるの、聞いちゃったの」



椎名くんは、決まり悪そうに目を逸らす。



「…ごめん、お前の耳に入らないように、って思ってたんだけど―…」



―…だから、なんで謝るの…



「ありがとう!!」



私が微笑んで言うと、椎名くんは顔を上げた。

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