《MUMEI》

「誰かを‥?」

 ああ、と大きく頷き、草助は刀の手入れを始めた。

「刃ってのは──傷つける為にあるもんじゃねぇ。守る為にあるんだ」

「──お前‥」

「へへっ、今結構いい事言っただろ?」

「‥だが今の台詞で大無しだ」

 呆れ返った様子で雛菊が言うと、未だに笑みを湛えたまま、草助は彼女の刀に目をやる。

「大事にしてやれよ? そいつ」

「──分かっておる」

 雛菊は草助を見習ってか、徐に刃を磨き始めた。

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