《MUMEI》

「綺麗──」

「‥?」

「お星様、綺麗だね」

アンリ様が切り出して下さったお陰で、僕は安堵しました。

気まずいままでは、聖夜の雰囲気が台無しですから──。

「凄く沢山お星様が出てる」

「そうですね──」

本当に、満天の星空です。

「───────」

星がこんなにも美しいものだと感じたのは初めてです。

それは、この御方が居て下さるお陰。

そう思う内に、やはり僕の腕はアンリ様の背に回っていました。

ですが、アンリ様は何も仰らずに只微笑を浮かべてらっしゃいます。

このままでも‥いいのでしょうか──。

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