《MUMEI》

蓬田は、おれを叩いたことに罪悪感があるのだろう、
1回叩いて、と言ってきた。


…そもそも、蓬田の手の動きは見えてた。



わざと、避けなかったのに。


―…おれは、蓬田から痛みを受ける必要があると思ったから。




蓬田は、もう充分傷ついた。


…これ以上、傷つく必要なんて、ない。



だから、目を閉じて力を入れる蓬田に、
軽くデコピンした。



「デコピンでチャラな。
…空手技だって、変なことに使っちゃったし」



…そうだ。


空手技は、本当はあんなヤツに使うべきじゃない。


でも師匠、許してください。






…大事なひとを、守りたかったんです。






「…結局、悪いのは全部アイツってことで!!」



それで、いいと思う。



―…それで、いい。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫