《MUMEI》

「風呂‥だと‥?」

 雛菊の顔色が青褪めた。

「心配いらねぇって、頼みゃ貸してくれっからさ」

 雛菊の事情を知らない草助は、早速動き出そうとする。

「華郎、行こうぜ」

「い‥」

「‥?」

「一緒に入れなどとは言わぬだろうな‥」

「何だ、嫌なのか?」

「とっ‥とにかく、拙者は一人が良いのだ」

「変わってんだなぁ」

「‥煩いっ」

 雛菊は顔を真っ赤にして俯いた。

 草助はぽかんとし、だが気を取り直すと、彼女の腕を掴んで歩き出した。

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