《MUMEI》

チャイムの音に、ハッとして身体を起こす。



「…んー…」



椎名くんが、目を開ける。



「あ、蓬田」



ふ、と笑う、椎名くん。



「…仕事やらせちゃってごめんな。
じゃんけんで負けたんだよ、委員会」



私は、堪らず立ち上がって、



「…ごめん、今日は帰るね!!」



と言って、図書室を飛び出した。



「おい!蓬田―…!?」



『私』―…椎名くんの声が、背中に聞こえる。



私はそれを振り切って、無我夢中で走った。



―…何してんの、



何してんの、私―…!!!

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