《MUMEI》 この夜もまた、僕は甘い味に夢中になっていました。 丁度日付が変わったので──クリスマスです。 陽が昇ったら、アンリ様が御目覚めになります。 それまでに、心の準備をしておかなくては。 告白の時のようにぎこちなくなってしまう訳にはいきませんし──。 ですがやはり‥緊張せずにはいられません。 「───────」 いつものように傷跡に手を添えていると、アンリ様がうっすらと目を開けられたので驚きました。 「申し訳ございません、‥起こしてしまいましたね‥」 「‥リュート‥?」 アンリ様は、不思議そうな表情をされて、ゆっくりと振り向かれました。 前へ |次へ |
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