《MUMEI》

この夜もまた、僕は甘い味に夢中になっていました。

丁度日付が変わったので──クリスマスです。

陽が昇ったら、アンリ様が御目覚めになります。

それまでに、心の準備をしておかなくては。

告白の時のようにぎこちなくなってしまう訳にはいきませんし──。

ですがやはり‥緊張せずにはいられません。

「───────」

いつものように傷跡に手を添えていると、アンリ様がうっすらと目を開けられたので驚きました。

「申し訳ございません、‥起こしてしまいましたね‥」

「‥リュート‥?」

アンリ様は、不思議そうな表情をされて、ゆっくりと振り向かれました。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫