《MUMEI》

「治して‥くれてたの‥?」

「‥はい、そのままでは‥失礼かと思いまして──」

「───────」

僕が手を離すと、アンリ様は御自分の首に手を当て、

「──凄い‥」

傷の無い事に驚かれました。

「ずっと不思議に思ってたの。朝‥目が覚めて触ってみても、いつも首には1つも傷がないから──」

そう仰ってから、アンリ様がにっこりとされて起き上がられたので、僕は慌ててプレゼントの袋をベッドの下に隠しました。

幸い、アンリ様は御気付きにならなかったようです──。

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