《MUMEI》
〜欄視点〜
スー…スー…。


ピカッ――



んっ何か眩しい?


しかし、泣いたまま眠ったせいか瞼が重くて開かない。


まぁいいか……。


機能を停止している頭では、何も考えられず再び眠りの世界に落ちてゆく。




クチュン――。


少し感じた寒気に身を震わせ、また夢の世界に帰ろうとした時にふと耳に入った声は、この世のものとは思えない程美しく澄んだ声だった。


「あなたの願いを叶えましょう。


ただし、……。


…………。そして、……だけ。


…………。」



「それは誰?」







途中で意識を手放してしまったのでほとんど聞き取ることが出来なかったし、最後の方は記憶にも残らなかった。






んっ眩しい……。


重い瞼をゆっくりと開けると、信じられない光景がそこにはあった。


私の顔を覗き込むぬいぐるみ――ハナの姿が1番に目に入る。


私と目が合うとハナは嬉しそうに微笑んだ。


「あっ欄チャン起きた〜!おはよう!!」


私はその光景に目をパチクリさせ、かけ布団の端を思わずつかんだ。


……あれ?


私はハナから視線を外し、かけ布団を見つめる。


「あっ布団ね、欄チャン掛けずに寝ちゃったから寒いと思って!」



その言葉に視線をハナに戻す。


そう確かに昨日、私はいつの間にか寝てたので布団を掛けずに寝ていた……はずなのに。


ニコニコして私を見ているハナをまじまじと見つめる。

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