《MUMEI》 夜が明けて──陽の光が窓から差し込んできました。 「──────‥」 アンリ様が、御目覚めのようです。 「あれ‥、ずっと居てくれたの?」 「ぁ‥申し訳ございません、すっかり長居を‥」 「ううん、ただ──寝ていないみたいだから心配で‥」 「いえ、仮眠は仕事の合間にとっていますので」 僕が言うと、アンリ様は安堵の表情を浮かべて、ふと窓の外に目を向けられました。 「綺麗──」 地も、木も、屋根も、全てが純白に染まった世界。 アンリ様にはとても喜ばしいようで、暫し目を細めてうっとりとされていました。 前へ |次へ |
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