《MUMEI》

「──アンリ様、あの‥」

「?」

「クリスマスプレゼントを──受け取って頂きたいのですが‥」

「ぇ‥」

「これを──」

僕は包みを、アンリ様に差し出しました。

「私に──くれるの‥?」

「はい」

「わぁ‥っ」

ありがとう、と仰り、アンリ様は早速、袋を御開けになりました。

中から出て来た小さな箱を手に、きょとんとされています。

僕が蓋を開いて差し上げると、アンリ様は目を輝かせて小さく歓声を上げられました。

「指輪‥?」

「──はい」

ダイヤモンドの嵌め込まれた指輪──。

「アンリ様」

「ん?」

「僕の──花嫁になって頂けますか」

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