《MUMEI》

「ぇ‥?」

アンリ様は、

「‥花嫁‥?」

「──はい」

「それって‥──」

僕を見つめたまま、暫くぽかんとされていました。

「───────」

そうですよね。

いきなり花嫁になって欲しいなどと言われたら、驚かれるのは当然です。

しかも、未だそのような事を御考えになられる御年ではない御方に──僕は‥。

「いいよ」

「‥?」

訊き返そうとする僕に、にっこりと微笑まれたアンリ様。

「花嫁──リュートの花嫁になってあげる」

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