《MUMEI》

「宜しい‥のですか‥?」

「うん、嬉しいから」

「───────」

「リュート‥?」

「‥ぁ‥申し訳ございません‥」

俯いていると、アンリ様が指輪を差し出してこられました。

「嵌めて──くれる?」

「指輪を‥ですか」

「うんっ」

「では──御手を」

僕はそっと手をとり、アンリ様に仰られた通り──指輪を薬指に嵌めて差し上げました。

「わぁ‥」

アンリ様は手を翳し、ダイヤモンドの煌めきに見とれてらっしゃいました。

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