《MUMEI》

「千秋……貴方正気なのかしら?」

ちーちゃんに勇気を振り絞って電話した私。


『ピャー……!』

な、雑音?
雑種の雑音?


『いたって ピィイ…  普通だが。 ヒヤアァ…』

ちーちゃんの良い声に紛れて雑種の鳴き声がする。
幼子が癇癪を起こすあれだわ、ちーちゃんが優しくするのをいいことに我が儘したい放題なのね!?


「千秋……私がどれだけ貴方を手に入れたいか知らないようね。本当、もう縛り付けて牢に閉じ込めてしまいたいくらいよ。」

キャ、
私ったらダイターン!


『いや、御免被る。』


「千秋は私に従っていればいいじゃない?」

ちーちゃんは私のちーちゃんであって欲しいの!
だからあの珍妙奇天烈な生き物を触らないで!

「……なんなら、私が千秋にしてあげてよ?」

私がちーちゃんに好きにされても構わないんだからっ……!
ちーちゃんをまっ、満足させることだって訳無いんだから!

恋ってそういうことよね?



『……千花、会うべきなのかもしれないな。』

キャ、ちーちゃんからお誘いをうけちゃった!


「へぇ、上等じゃないの。」

何着てこうかしら。
これってデートなのよね?

お弁当は必要かしらっ?

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