《MUMEI》
「は?意味…わかんねーんだけど…」
緩く俺の体に回される裕斗の腕。
頭をまるで猫でもあやすかの様に撫でてくる。
俺は裕斗の肩に顎を乗せて、首に改めて腕を巻きつける。
裕斗はいつも甘い匂いがする。
この匂い、俺はめちゃめちゃ好きなんだ…。
俺のこめかみが裕斗の頭に硬く当たる。
温もりが心地良い、安心する……。
「は〜…」
「俺の腕の中ってそんなに安心しちゃう?」
「…する、めちゃめちゃ……、ホッとする〜……」
安心しすぎて涙が出そうだ。
背中!そう、背中撫でられてるからだ。
頭撫でられてるからだ。
……ううん
裕斗がしてくれているからだよ。
「裕斗って何でこんなに安心すんだろ…」
「ん〜…、こうされたら安心するって〜の分かってっからかな、ぶっちゃけ自然にこうしてる訳じゃねーっつうか、……、経験、かな……背中ってヤバイだろ?これは誰でも安心するつぼ…」
「………何だよそれ…、わざとに俺は安心させられてんのかよ、クソ…むかつく…」
ちょっとは分かってたよ、そんな事。
それでも離れられなくてしがみついていると、今度はきゅっと胸の中に納められた。
もう全体重かけて裕斗にしがみつく。
心地良すぎて涙が出そうだ。
…分かってるけど、
「それだけの訳ねーじゃん、裕斗だから安心すんだよ、同じ事他の奴にされたって、こんなに…安心しない…」
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