《MUMEI》

いつも通り、おれが先に学校に着く。



「おめでとー!!!」



教室のドアを開けると、
蓬田の友達の女子達が、おれを出迎えた。



「あ、ありがとう…」



蓬田の代わりに、お礼を言った。



「はい、これあたしたちからー!!」



と、大きな紙袋を差し出す金原。



中には、色とりどりの包みが入っていた。



「お誕生日おめでとう、かなめ」



青木がにっこりと微笑む。



…みんな、笑顔だ。




本当は、蓬田が祝ってもらうべき日なのに…




「ありがとう!!」



…でも、


―…だからおれも、笑顔で答えた。

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