《MUMEI》

取りあえず、家に帰ることにした。



「ただいまー」



玄関を開けると、蓬田ママが、にこにこしながら駆けてきた。



「おかえり!!…ごはん、できてるわよ」



すっげー、いい匂いがする。



おれがリビングに入ると、すごいご馳走が並んでいた。



「ママ、頑張ったのよ〜!!
…それから…」



蓬田ママは食器棚の上にあった包みを持ってくると、



「はい!!お誕生日おめでとう」



と、それを差し出してにっこりと微笑んだ。



「あ、ありがとうございます!」



おれがお辞儀すると、蓬田ママは



「どうしちゃったの、そんな改まって!!」



と、笑った。



―…やっぱり、だめだ。



ちゃんと、蓬田に渡さないと。



おれは顔を上げると、



「…ちょっと、出かけてきます!!」



と告げた。



「晩ごはんまでには帰ってくるので!!」



おれが続けると、



「…いいわよ、気をつけてね」



と、蓬田ママは微笑んだ。



「…ゴジラ!!」



おれが叫ぶと、ゴジラはすぐに駆けつけた。



「…行こう」



おれは、ゴジラを連れて家を後にした。

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