《MUMEI》 近くの公園のベンチに蓬田を座らせると、 おれは 「昨日、何かあったのかもしれないけど、 言いたくねえんなら、これ以上訊かない。 ―…だからさ、」 おれは、紙袋を蓬田の前に突き出した。 「これ、お前の友達から。 ―…で、こっちはお前の母ちゃんから」 蓬田は、キョトンとした目でおれを見る。 「…誕生日なんだろ、今日」 おれが言うと、 「あ、」 蓬田は、そっか、と呟いた。 …忘れてたのか、自分の誕生日。 蓬田は、紙袋を受け取ると、 「ありがとう!!」 と、笑った。 ほっとして、おれも隣に腰掛ける。 「メールも、来てたぞ」 携帯も渡す。 蓬田は、うわあ、と声を上げながら、 プレゼントを1つ1つ開けていった。 すごく、嬉しそうに笑う蓬田。 その足元でゴジラが、楽しそうに小さく吠えた。 前へ |次へ |
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