《MUMEI》 全部プレゼントを開け終えると、蓬田は 「…なんか、変な態度とっちゃってごめんね。 それから、わざわざありがとう!!」 と、おれに頭を下げた。 「…や、別にいんだけど、―…あの、さ」 おれは、どうしようか迷った。 蓬田は言いよどんだおれに首を傾げる。 …いいよな。 誕生日、なんだもんな。 おれは、鞄から箱を取り出して、蓬田に押し付けた。 「―…それ、やる」 箱を受け取って、不思議そうな顔をする蓬田に、言う。 「…え…??」 「口に合うか、わかんねえけど」 蓬田が、箱を開ける。 中身は、おれが昨日作ったシフォンケーキだ。 料理本見ながら何かを作ったのは、すげえ久しぶりだった。 …作ってる途中、甘い匂いに気持ち悪くなった。 何も言わない蓬田に、少し不安になる。 「…や、別に、なんつーか… せっかく誕生日だからさ、何か―…」 おれは、何も言えなくなった。 蓬田が、ただ黙って涙を流していたからだ。 前へ |次へ |
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