《MUMEI》

「うわぁぁあああ!!!」


闇雲に走った。


足が壊れてしまっても良いと思った。


いっそこのまま……死んじゃえばって何度も思った。


いつも試合で思うように結果が残せなくて、
父さんに殴られた時、
いつも助けてくれた母さん。


辛いくせに、痛いくせに、
何度も大丈夫だって言ってくれて。


颯馬は私が守るからって言ってくれて。


何度救われたんだろう。


どれだけ励みになれただろうか。


俺は信じていた。


その言葉を。


永遠のものだと。


けれど…。


たった今それがなくなった。


裏切られた。


……見捨てられた。





僕は、誰もいない道路で、
全力疾走した。






知らずに公園に来ていた。


誰もいない、寂しい光景がまるで自分のようで……。


悔しかった。


「あれ……。
僕……泣いているの……?」


泣いていることさえ、
気付かなかった。


何度も溢れてくる涙を必死に止めようとして、
こう思った。


“もう二度と泣かない”

そして………、


“二度と人を信じない”

と。

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