《MUMEI》

ようやく涙も収まって、
私は椎名くんの手を掴んだままだ、ってことに気付いた。


慌てて手を離して謝ると、
椎名くんは立ち上がって私の隣に座りなおした。



―…椎名くんは、何とも思ってないんだろうなあ…


少し、落ち込む。



「なあ、前から訊きたかったんだけど」



沈黙を破って、椎名くんが訊く。



「…なに??」



私が椎名くんを見返すと、



「…お前の父ちゃんって、何してる人??」



椎名くんが、そう言って首をかしげた。


―…いつも帰らないパパのこと、
不思議に思ってたのかな…



「……獣医さん」



私は、小さな声で答えた。

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