《MUMEI》 ようやく涙も収まって、 私は椎名くんの手を掴んだままだ、ってことに気付いた。 慌てて手を離して謝ると、 椎名くんは立ち上がって私の隣に座りなおした。 ―…椎名くんは、何とも思ってないんだろうなあ… 少し、落ち込む。 「なあ、前から訊きたかったんだけど」 沈黙を破って、椎名くんが訊く。 「…なに??」 私が椎名くんを見返すと、 「…お前の父ちゃんって、何してる人??」 椎名くんが、そう言って首をかしげた。 ―…いつも帰らないパパのこと、 不思議に思ってたのかな… 「……獣医さん」 私は、小さな声で答えた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |