《MUMEI》

椎名くんは、少し驚いたように私を見た。



「そうなんだ。
―…じゃあ、やっぱ父ちゃんに憧れて??」



椎名くんが私に尋ねる。



「…え…??」


「だから、獣医になりたいのってさ、
父ちゃんに憧れてるから??」


「―…な、なんで、私が獣医になりたいってこと、知ってるの!?」



驚いて聞き返すと、



「え??―…お前の母ちゃんが言ってたぞ」



キョトンとした顔で、椎名くんが答える。



―…私なんかまだまだだから、秘密にしてたのに…!!



「…憧れも、あるよ」



私は、椎名くんに話し出した。

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