《MUMEI》

訪れたこの場所には、咲き乱れていた薔薇の姿はもう無く、ただ雪ばかりが積もっています。

「ベンチは座れないね──」

ベンチにも雪が積もっている為、以前のように座る事は出来ません。

「───────」

僕はベンチの雪を払うと、コートを脱いで座席に広げました。

「どうぞ、御掛けになって下さい」

「ぇ──」

アンリ様は驚かれたのか、目を円くしてらっしゃいます。

「でも、リュートのコート‥」

「──御構い無く。さぁ、御掛けになって下さい」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫