《MUMEI》 病院は、もう閉まっていた。 …でも私は知ってる。 パパは残って仕事を続けてること。 それと、裏口からの入り方。 「椎名くん、ここから入って」 私は、裏口のドアを指差した。 「…私の鞄に鍵が入ってるから、それ使って」 「おう」 椎名くんは鞄から鍵を探し出すと、鍵穴に差し込んだ。 カチリ。 懐かしい音がして、鍵が開いた。 「ありがとう。…頑張ってね」 私が言うと、 「おう。…大丈夫、ちゃんとやるから」 安心して待ってろ、と言って椎名くんはドアの中に入っていった。 ―…大丈夫。 椎名くんの『大丈夫』は、 世界で一番、心強い。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |