《MUMEI》
第三華
 竹刀が空を切る音。

 朝露に濡れた草の上に立つ娘。

「よぉ、起きてたのな」

「お前が遅いのだ。なかなか起きぬからずっと独りでやっていたのだぞ?」

「わりいわりい‥」

 寝癖の付いた髪をわしゃわしゃと掻きながら苦笑する若人。

「にしても、早起きだなぁお前」

「当たり前だ。──というかお前は何ゆえそんなにも寝起きが悪いのだ?」

「まぁ、昔っから──」

「──────‥」

「ほいっ」

 草助が投げて寄越した物を、雛菊は反射的に受け止めた。

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