《MUMEI》

「‥これは‥」

「ほらさ、早起きは三文の得って言うだろ?」

「──これはお前の‥」

「まぁ、お前にやっとくよ。俺はあんまし金とか使わねぇからさ」

 草助はにぱっと笑い、縁側に腰掛ける。

「お前が稼いだのだろう? 拙者が貰う訳にはいかぬ」

「ま、それで団子でも食えよ」

「‥良いのか‥?」

「おうよっ。だからさ、そんな難しい顔ばっかすんなって」

「‥分かった‥。有り難う」

 雛菊は嬉しそうだ。

 三文を握り締め、そっと懐にしまった。

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