《MUMEI》

御所望頂いた通り、フレンチトーストとレモンティーを御出しして、デザートにと思い果物を取りに行こうとすると、

「リュート」

呼び止める声がして、僕は振り返りました。

「はい」

「林檎はまだある?」

「ございますよ、赤林檎と青林檎、2種類共ございます」

「じゃあ──赤林檎を剥いてくれる?」

「畏まりました」

アンリ様に頭を下げて、食料庫へ林檎を取りに向かいます。

兎にして差し上げたら──喜んで頂けるでしょうか。

「───────」

林檎を手に戻りながら、今朝の事を思い返していました。

アンリ様が、花嫁になると仰って下さった事を。

僕は頂いてしまいました。

最高の、クリスマスプレゼントを──。

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