《MUMEI》
花嫁
「御早うございます、アンリ様」

「おはよう──」

アンリ様は僕に微笑み掛け、左手の薬指に嵌められた指輪を見つめてらっしゃいます。

「ふふっ」

「‥如何なされました‥?」

「何だか──嬉しくて」

「嬉しい‥ですか?」

「だって、私──リュートの花嫁なんだもの」

アンリ様は指輪から視線を離して、僕に向けられました。

「──ありがとう」

「アンリ様‥?」

「幸せだよ、私──」

「本当ですか、アンリ様──」

「うんっ」

「──僕もです」

僕も幸せです。

アンリ様に、花嫁になって頂けて──。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫