《MUMEI》

「‥ん、まだ素振りやってんのか?」

「‥何もする事が無いものだから‥その間に練習をと思ってな」

「あんまりこん詰めんなよ?」

「むっ、拙者は──」

 言い掛けた刹那、しゅるり、と紐が解ける音。

「な‥、何をするっ」

 髪を束ねていた紐を解かれ、雛菊は慌てる。

「返せっ。拙者を侮辱する気か‥!?」

「してねぇって。ただちょっとからかっ──」

「からかっただと‥!?」

「ゎ‥悪かった、そんなに怒るなって」

「謝っているのか宥めているのかどちらなのだっ」

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