《MUMEI》 「いいな…恋人欲しいな…」 自然な感想を漏らす俺に、奴は笑いかけた。 「銀二以上がいれば、でしょ」 ハイハイ 勝手に言ってろや馬鹿 皮肉を投げ掛けながら子供みたいに笑う、男臭いくせに妙に可愛いこの男を心底希有だと思った。あれ、こんな奴だったっけ?なんて疑問は、薔薇色海溝横断の真っ只中にいる男には野暮だろう。 その薔薇色の海には津波も渦もあるんだろう、けど。 できるならその横断を手助けする帆くらいにはなってやりたいなんて思ってしまう俺も相当お人好しだ。 あぁ、でも神様 願わくばこの無邪気で真っすぐな可愛い生き物たちが涙を少しでも節約できますように。 神様なんていたら、だけど。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |