《MUMEI》
早朝の三人
厳と頼の誕生日パーティーの翌朝。


「ん…」


(もう、朝か)


俺は、ゆっくりと目を開けた。


「…眠い」


重い瞼を何度もこする。


トントントン


台所からは軽快な包丁の音と


味噌汁の匂いがした。


「おはよう、祐也」

「あー…」


ピンポーン


俺の挨拶を遮るように玄関のチャイムが鳴った。


「きっと、志貴だよ」

「…だな」


ピンポンピンポンピンポン

(近所迷惑だ!)


俺は慌てて立ち上がる。


ガチャッ!


俺が扉を開ける前に、玄関は


内側から開いた。


「ゆ! … …」

「「おはよう、志貴」」


俺達を見て、志貴が固まった。


「祐也だったら無事だよ。頼に何もされてないよ」

「… 本当に?」


俺は、コクコクと頷いた。

それはもう、必死で。


俺が必死になるのには理由があった。


俺の様子に首を傾げながらも、志貴は納得してくれた。


そして


志貴は、改めて今の状況について質問した。


「で? 何で柊がいるの?

何でエプロンつけてお玉持ってるの?」

「昨日泊まって、今朝食作ってるから」


全く無邪気な柊の答えに、志貴は再び固まった。

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