《MUMEI》

 歩き始めたはいいものの、特に行く宛もない二人。

「今日は何処までいくのだ? 草助」

「まぁ取りあえず──困ってる奴がいねぇか見て回ろうぜ」

「ふむ‥」

 暫く行くと、賑やかな音が聞こえ出したので、嫌がる草助を無理矢理に引っ張って雛菊が近付いてみると、そこには人だかりが出来ていた。

 何人かが、大道芸らしき事をしているようだ。

「おお、祭か?」

「いや、ただの大道芸だけど?」

 草助は雛菊が恰も何も知らないかのように思えてならない。

 実際、そうであるのだが。

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