《MUMEI》 「ですが‥」 「気にしないで。ちょっと心配だっただけだから──」 「本当に‥」 「本当。それに、嬉しかったよ。抱き締めてくれて──」 頬を染めてにっこりとされるアンリ様は、それこそまさに天使のようで──‥見とれずにはいられませんでした。 「そろそろ──帰る?」 「‥ぁ‥」 いつの間にか、差し込む光は夕陽色に変わっています。 「そうですね。帰りましょう」 そう答えた僕の手を、アンリ様が握り締めて、2人で教会を後にしました。 前へ |次へ |
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