《MUMEI》

「…はい」



少し遅れて、返事が返ってきた。



「失礼します!」



おれがドアを開けて中に入ると、蓬田の父ちゃんは目を見開いた。



「かなめ、お前何で―…」



蓬田の父ちゃんの言葉を遮って、
おれは少し大きな声で言った。



「…手紙、書いてきたので、今から読みます!」



驚いた表情のままの蓬田の父ちゃん。

…改めてみると、似てるな。


おれは、折りたたんだルーズリーフを広げると、
蓬田にも聞こえるように、大きな声で読み始めた。

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