《MUMEI》

「どうも、こんばんは」


『こんばんは。…要さん、いらっしゃいますか』


「あ、自分です」



…病院から、電話って…


何かあったのか!?



『あの、覚えてるかな?…君が入院した時の―…』


「はい!担当の先生ですよね?…何かあったんですか??」


『いや、君が言っていたことを思い出してね』


「はい??」


『…ほら、言ってただろう?―…猫を、助けたって』


「…はい」



そうだ、あのとき、『もし猫のこと聞いたら教える』
って言ってくれたんだっけか。



『病院に、よく猫が入り込むようになったんだ。
…君が探してる猫は―…』


「白猫です!!」


『そうか、こっちの猫も白猫なんだ。
何か関係があるかもしれないと思って電話してみたんだ。
いきなり悪かったね』


「いえ!!…ありがとうございます!」


『いやいや、いいんだよ。…じゃあ、椎名くんにも、よろしく』


「はい、では」



電話を切って、ほっと一息つく。



―…もしかして、何か進展があるかもしれない。

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