《MUMEI》
特別
「………。」


自分の部屋に入ると、
いつものようにベッドへ身を投げた。


キシ……と、
普段なら気にならないベッドの軋む音にも、
反応していまう。


それ程ショックだったのだろうか?


俺が人間ではないことに。


いや、嬉しかったのか?


特別な存在だと言うことに。


けれど…。


今の俺にはどうでも良かった。


例え俺が特別な存在で、人間じゃなかったしても、
認められたかった。


滝澤颯馬という存在に。


俺は俯せの状態から身体を転がして俯せの状態になると、
独り言をこぼした。


「滝澤颯馬……か…。」


この名前に意味はあるのだろうか?


未だに納得のいく回答が見出だせないままでいると、
怪しげな音が聞こえて来た。


コン…コン……と、定期的に窓ガラスをぶつける音がする。


何なんだ?


好奇心というよりも、
苛立ちの方が先立って窓の方へ視線をむける。


そうして下を覗くと、
意外な人物が立っていた。

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