《MUMEI》

 団子屋を出、再び歩き出した二人。

「──平和なものだな」

「それが一番」

 草助は嬉しそうに言う。

「俺らの出番がないって事は、それだけ安定してるってこった」

「‥そうだが──‥、?」

 雛菊の足元に、何か丸い物が転がって来た。

(毬か‥?)

 手に取り眺めていると、

「ぁ、‥あの‥」

五つ位と見える幼女が雛菊を見上げていた。

「‥ん。──ああ、お前のか」

 目の前の幼女はこくり、と頷き、雛菊から毬を受け取った。

「ありがとう、お兄ちゃん」

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