《MUMEI》 鍵の謎「じゃ、俺は先に行くね」 「あぁ」 「うん」 すっきりした顔で柊は部屋を出て行った。 「そういえば、何で柊が祐也の部屋の鍵を持ってたの? まさか、合鍵?」 「違う違う」 俺にとって柊は普通に友達の一人だ。 この部屋の合鍵を持っているのは、不本意だが忍だけだ。 「大家さんからマスターキー借りたらしいよ」 『友達が心配だから』 あの美貌で、必死にそう訴えられて、大家はあっさり鍵を渡したらしい。 「今度私もやってみようかな…」 「それはやめて」 俺はあっさり志貴に鍵を渡す大家を簡単に想像できたから、思わず苦笑してしまった。 「で、祐也は頼の事、どう思ってるの?」 「生意気な後輩」 俺は正直に答えた。 友達でも、恋人でも無い。 ただ、部活が同じで、年上の俺にも生意気な口をきく後輩 それが、頼だと思ったから。 「まぁ、祐也には忍さんがいるしね」 「忍には敵わないからね」 これも、正直な意見。 (忍の方が強いし) そう、思っての発言だったのだが… 「ラブラブね」 志貴は、違う意味にとらえたようだ。 前へ |次へ |
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