《MUMEI》

「優しいんだな、お前」

「‥!? な、何を言っておるのだ、ゎ‥拙者は断じて‥」

「そう意地張るなって──」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「何だ、どうしたー?」

「ど、どうもしてはおらぬ」

 雛菊は悟られるのを恐れてか、黙り込んだ。

「‥?」

 何やら向こうが騒がしい。

「行ってみるか。華郎、行こうぜ」

「ぁ、ぁぁ‥」

 雛菊は遅れを取らぬように早足で歩く。

 人だかりが出来ていたが、どうやら今度は楽しげなものではないようだ。

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