《MUMEI》

「ゎ、分かってるけど‥」

「また小火が起きぬとも限らぬ。放っておけば‥更に大きな事態を招くやも知れぬ」

「じゃあ、見張っとくか」

「‥む、珍しいな、お前からそのような事を切り出すとは」

「取りあえず──ここらの部屋借りて様子見ようぜ」

「──ああ」

 雛菊は暫し人だかりを見つめた後、草助の後を追った。

「草助」

「?」

「民は大変であるのだな」

「ん、何言ってんだ? お前──」

「!‥な‥何も言うてはおらぬ」

 恰も己が民ではないかのような台詞を言っていた事に気付き、雛菊は慌てふためいた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫