《MUMEI》

『あれさ…斎藤宛てだったよ。』


『へ?エエーーッッ?なんで…だって…』


『だって手紙に名前書いてたよ?』


『だって〜橋迫、たしか〜うきょう先輩って…』


『斎藤 境(さいとう きょう)…だよ。』


…あ、きょう先輩ね…ははっ…紛らわしいね…。


『あのキーワードで〜僕って思ったんだ?』


『うん…お前しか、思い付かなかったよ…』


『真人の中の僕って…あんなイメージなんだ?』


『うん…』


右京は〜照れくさそうに笑って、オレをベッドへ運んだ。


オレは橋迫の手紙が、右京宛てじゃなくて良かったなと心の中で思っていたんだ。

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