《MUMEI》 「“また”俺を貶るか?」 昭一郎の冷淡な声色では想像もつかないほどの温かさだ。 昭一郎の、目が 硝子のレプリカのようで怖くて……蠱惑的だ。 国雄のように特別見目好い訳じゃ無く、陰りのある静けさを宿していた。 国雄が動なら昭一郎は静だろう。 ごくり、と喉が鳴る。 欲目かもしれないが……いや、国雄も同じだったのだから間違いでは無い。 ……彼は高慢で、美しい。 「お前に会わなければどんなに平穏だったろう?また繰り返すのか俺は……」 過ちを…… 両手を結んで、床に押し倒す。 やっぱり、昭一郎は弱くなった。 俺がいとも簡単に脱がせてしまうほどに。 骨張った体、顎から鎖骨にかけて特にくっきりと影が残っている。 前へ |次へ |
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