《MUMEI》 「賢ちゃん!?」 「おうよ!!」 「や、おうよ!!じゃねぇだろ!」 そう言って窓から首を出して、 自分の部屋の窓を指差す。 「どうしてくれんだよっ!コレ!!」 窓にはサッカーボール型の泥が、 積み重なるようにしてついていた。 「しゃーないしゃーない!!」 ヒラヒラと手で仰ぐ賢ちゃん。 ったく、人の気も知らないで………。 俺は皆が恐れる程の潔癖症だ。 直ぐさま雑巾を持って来ると、 窓をふき始めた。 「なあ、颯ちゃーん!」 「なんだよ!」 まだいたのかよ! 「颯ちゃんの部屋に入ってもええ?」 「ここ二階だぞ。 死ぬ気か?」 「そーかもー」 あ、否定しないのか……。 ほんっと変な奴。 俺は盛大に窓を開けると、 「ほらよ。 落ちんなよ?」 部屋まで上がって来るように促した。 「よし来た!」 そう言うと賢ちゃんは、 「コレうけとって!」 サッカーボールを投げて来た。 そうして、俺がサッカーボールを手にするのを見届けると、 あっという間に窓までよじ登ってきた。 前へ |次へ |
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