《MUMEI》

「ふぅ、ひとまず休憩すっかぁ」

 部屋に入るなり、どさり、と荷物を置き横になる草助。

 雛菊は落ち着かないのか、腕組みをしながら部屋を歩き回っている。

「お前も休める時に休んでおいた方がいいぜ?」

「お前に言われずとも分かっておる」

「心配なのか?」

「──お前は呑気過ぎるのだ」

「そうかぁ‥?」

「そうだ」

「お前、そんなに気ぃ張り詰めてばっかいて疲れねぇのか?」

「お前のように出来たら苦労はせぬ」

 雛菊は溜め息を吐き、格子を開けて外を眺めていた。

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