《MUMEI》

「ごめんね、びっくりした‥?」

「いえ、嬉しかったです」

「──良かったぁ」

アンリ様はホッとされたようでした。

「ねぇ、また──さっきみたいにしてもいい?」

「はい、御望みならば」

「ありがとう」

「──何か、御作りしましょうか?」

「今は大丈夫。紅茶を飲んでからそんなに経ってないし──」

「ぁ‥、そうでしたよね、すみません──」

「──ふふっ、リュートの悪い癖だよ?」

「‥?」

「何にも悪い事してないのに──」

アンリ様は苦笑されながら、そう仰いました。

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