《MUMEI》 「……どうしてそうなるんだよ…。」 「ん? だって取り乱した颯ちゃんなんて見たことないやんか。」 「………。」 俺は黙って半眼で賢ちゃんを睨み付けた。 「そ、そんな怒るなよ! それより元気そうで何より何よりっ!!」 「お前と一緒だと、 嫌でも元気になる……。」 「ん?そうか? そりゃあ良かった!!」 賢ちゃんはそう言ってサッカーボールを手に持つと、 「そんじゃな!」 部屋を出て行こうと窓に足を掛けた。 「ちょっとまて。」 その瞬間、 俺はどうしても賢ちゃんにあることを聞きたくなった。 「ん?どしたんや?」 不思議そうに顔だけこちらに向ける賢ちゃんに、 ボソリと呟いた。 「人間って、なんだ?」 前へ |次へ |
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