《MUMEI》

「……どうしてそうなるんだよ…。」


「ん?
だって取り乱した颯ちゃんなんて見たことないやんか。」


「………。」


俺は黙って半眼で賢ちゃんを睨み付けた。


「そ、そんな怒るなよ!
それより元気そうで何より何よりっ!!」


「お前と一緒だと、
嫌でも元気になる……。」


「ん?そうか?
そりゃあ良かった!!」

賢ちゃんはそう言ってサッカーボールを手に持つと、


「そんじゃな!」


部屋を出て行こうと窓に足を掛けた。


「ちょっとまて。」


その瞬間、
俺はどうしても賢ちゃんにあることを聞きたくなった。


「ん?どしたんや?」


不思議そうに顔だけこちらに向ける賢ちゃんに、
ボソリと呟いた。


「人間って、なんだ?」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫